多くの動物たちはオスの方が美しいのに、なぜ人間は女性の方が美しいのか?

T. H. Clutton-Brock and E. Huchard.  Social competition and selection in males and females.  

Phil. Trans. R. Soc. B 2013 368, 20130074

 

動物たちの世界では、親投資 parent investmentの大きな男女差の問題から、基本的にはメスがオスを選ぶ立場にあります。

 

そのうえ、多くの動物たちは、たった一匹のオスが多数のメスを従える「ハーレム」を形成する一夫多妻制です。

だから、オスたちはメスに選ばれることを競争し、その競争に勝ったものがたった一匹の「ハーレム」の主になれ、敗れたものには生殖の機会(次世代に自分の遺伝子を継承する機会)がない…という、まあ厳しい世界です。

 

オス同士の競争は、本格的な喧嘩 fightであることもありますが、これは勝った方も負けた方もリスクやコストがかかり過ぎます。

このため、本格的な喧嘩を避ける方法として、体の大きさや姿勢によるアピール(体の大きな個体の方が普通は喧嘩に強いからです)、鳴き声によるアピール(体の大きい個体の方が強そうな声で鳴けるからです)、ツノやしっぽの飾り ornament…などなどいろいろやるわけです。

 

だから、多くの動物たちは、オスの方があれこれ飾りつけが多いし、色も派手だし、綺麗なのです。

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ここで思うわけです。じゃあ、なんで人間は逆なの?と。

 

実は動物の世界にも、メスにあれこれ派手な飾り付けがあって、派手で綺麗なものもいます。

そうした動物たちは、その多くが、一夫多妻制ではなく、一夫一婦制。さらに、メスはちょくちょく浮気 extra-pair couplationをする性質があります。

 

そう、メスがこうしてちょくちょく浮気をするには、アピールするものがあった方が有利なのです。

 

ということは…なんて、わざわざ言わなくても、人類の進化の歴史の中で、私たち人間の女性にとって浮気はとても重要な遺伝子継承戦略の一つであったであろうことが、他のいくつもの根拠から示されているので、まあ、よしとしましょう。